<第31回大型光学赤外線望遠鏡専門委員会議事録>(案)

 

日時:2000年3月2日午前11時〜午後16時(日本時間)

場所:国立天文台解析棟すばるTV会議室(TV会議利用)

出席者:家(委員長)、太田、岡村、郷田、小林、佐藤、田村(幹事)、

 林、舞原、山田(以上委員)、安藤次期所長、海部現所長、小平台長

(その他の出席者:佐々木、山下, R. Wainscoat, A. Tokunaga)

 

1.前回議事録確認(家、資料31-1)

 

2.国立天文台委員会及び専門員会規則(家、資料31-2)

 台内各種委員会規則の整備に際し、大型光学赤外線望遠鏡専門委員会を

すばる専門委員会と改称すること、小委員会として、すばる望遠鏡プログ

ラム小委員会・すばる望遠鏡開発小委員会の設置を明記することが提案・

承認された。

 

3.すばるプロジェクト・ハワイ観測所状況報告

3.1.観測所概況報告(海部、資料31-3)

 すばる望遠鏡の建設プロジェクトは今年度をもって正式には終了。来年度か

らは共同利用を開始し、科学的成果を得るフェーズとなる。ファーストライト

および試験調整期間のデータがPASJの特集号となって出版された。望遠鏡各部

調整とハンドオーバーに手間取りがある。特に、AGの効率改善、赤外副鏡の方

針は検討を要する。第一期観測装置は、ようやく機能試験観測を開始し、これ

までにCOMICS, FOCAS, CIAO, IRCS, OHS, Suprime Camがファーストライトを

迎えた。試験観測装置ではMIRTOSがファーストライトを迎えた。観測所スタッ

フはほぼフルメンバー(合計58名)となった。将来的には三鷹から一部門をハ

ワイに移す方向で検討している。人員増に伴いオフィスが手狭になったので、

増築の要求をまとめる。運用経費はかなり目標に近い線を確保できた。平成13

年度は運用経費の上積みと開発費を目指す。共同利用はリスクシェアを前提とし

て10月より開始することを目指す。UH88インチ望遠鏡時間の借り上げを

来年度後半をめどに実施できそうである。また、UKIRT時間も研究協力で借り

るめどがついた。ハワイ大学IfAの所長選出は、再度継続中の様子。

マウナケアのいわゆるマスタープランの改定は最終段階にあるが、状況

は混沌としている。すばる側としては、これまでどおりハワイの文化を尊重し

ながらUHヒロ校と連携を強化し地元の理解を得て行く努力を継続する。来年度、

ハレポハクのベッドルーム5室購入ができる見込み。マウナケア全体の見学

者が2倍に増え、日本人が多いことも鑑み、ビジターインフォメーションセン

ターへの寄与・パンフレットの製作などを進める。

 

3.2.望遠鏡概況(佐々木、資料31-4)

 性能達成表に基づき、各焦点でのPA/MA/周辺光学系等の達成数値を披露した。

また、最近の望遠鏡トラブルリストを示し、特に、未修正の問題点を解説した。

駆動モードの変更異常、駆動中の飛び(約10")、星像の伸び(約0.4")、6Hz

振動、Absエンコーダアラーム、バーコードリーダ取り付け・読み取りエラー、

AG引き込み効率、TWSメモリーリークなど。

 

3.3.第一期観測装置状況(山下、資料31-5)

 ○Suprime-Cam:主焦点でのテスト観測が始まった。真空悪化の問題があるが、

イオンポンプの導入を試験している。CCDの入れ替えの時期を検討中。

 ○COMICS:1回目の機能試験観測を終了。赤外副鏡の問題で長時間の星像安

定性は確認できなかったが、短時間露出ではほぼ回折限界の画像を取得。現在

は、まだシステムの感度が低く、検出器ファンアウトボードを再製作・入れ替え

を検討中。2回目の試験観測を希望している。

 ○FOCAS:1回目の機能試験観測を終了。MOS機構に山頂・山麓の気圧差に伴

うトラブルがあり、主に撮像機能のみを試験した。M82のデモ画像は印象的。

真空悪化の問題がある。

 ○CIAO:1回目の機能試験観測を終了。単純撮像・コロナグラフ撮像につい

てのナチュラルシーイングでの機能試験を一通り終了した。グリズムは大きな

スリット幅なので解像度が低く、ほとんど試験はできなかった。ピクセルスケ

ールが細かいのでZJHKに加えL'M'の広帯域撮像が比較的容易。マスクも

2-0.4"までを試験した。

 ○OHS:1回目の機能試験を終了した。背景光は1/25になることを確認した

が、さらに改善できる見込み。スリットの光軸調整などを行った。CISCOを赤

外ナスミス焦点でセットアップした。しかし、AGなどのため期待されるものと

比べ、約3割程度しか観測の効率が無い印象がある。

 ○IRCS:1回目の機能試験を実行中。トクナガ氏の印象は、非常にスムーズ

commissioning run。シーイング・天候も良い。エシェルスペクトルも取得

している。その他さまざまな機能を試験中。

 ○HDS:三鷹での実験室試験を終え、ハワイへ輸送中。免税通関もクリアした。

可視ナスミス焦点への設置を近々はじめる。

 ○AO:擬似光源を用いた制御試験でスペックを確認した。光学シミュレータ

でのたわみ試験、宇宙研の恒温チェンバーでの低温化での動作試験を行ってい

る。ハワイ輸送は4月になるが、空輸・包括免税が使えるので到着は早い。

 

4.開発小委員会報告(佐藤、資料31-7)

 IRHSとMOIRCSより分厚い製作計画資料が提出されている。特に、MOIRCSは

検討が進んでいることが資料から見て取れる。また、低ノイズの2048x2048

HgCdTe用読み出し回路の製作も順調のようである。委員長自らの見学はまだ。

一方、IRHSは担当者によれば、解像度5万ならば確約できるが20万の分光器

を提案したタイムスケールで製作することは難しい。平成12年度の予算配分

を決める前に当小委員会で判断し、その結果を次回すばる専門委員会にかける。

FMOSの進捗状況について舞原委員が補足。2月にヒロで代表者会議を行った。

日本側が約5億円を担当し主に物品購入・英国側が約2.5億円で人件費などに

使用する。日本側で主張していた波長域・分解能・同時天体数などで合意。イ

ギリス側PPARCでプレゼンするためのPDRの準備を進めている。PDRは秋頃の

予定。FMOSでの協力に関する(おおまかな)MOUへのサインの時期に来ている

が、UKIRT/WFCAMの協力も含めてN+N会議でも議論する必要性が指摘された。

R&D経費留保分の配分決定の説明と今年度配分のまとめを行った。

 平成12年度分については5−6月頃に予算配分のレビューを予定

 

5.ハワイ観測所平成12年度体制と活動予定(安藤、資料31-8)

 以下のような項目を予定・検討している。海部から安藤への所長交代、三鷹

すばる室との共同による望遠鏡共同利用、所長諮問機関としてのサミット会議

の設置、望遠鏡立ち上げから運用・開発体制への移行、観測支援・サイエンス

の充実、共同利用立ち上げ、望遠鏡機能追加・更新、次期装置開発、ハワイ・

三鷹通信回線アップグレード、スパコン更新、山麓施設増設要求など。

 

6.共同利用開始に向けての提案(林、資料31-6)

 共同利用開始に向けてのスケジュールを俯瞰した。公募案内を3月中、締め

切りを5月、観測開始を10月半ばという案が説明された。マージンを多めに

とっているところが無くは無い。

 議論の結果、まだ機能観測が各装置一回りした段階なので、公募案内の発送

時期を3週間程度遅らせて4月中旬ごろを目処とすることとし、10月共同利

用開始の線は以降のスケジュールを詰めることで守ることとした。

 共同利用に供する観測装置とその機能については3月8日に各装置から

現状と意向を聞き、観測所としての基本方針を装置側と3月中に折衝し、

4月初めにはその方針を固めることとした。

 Call for Proposalsの0.5版が説明された。キーワードカテゴリーについて

まだ若干意見はあるが、内容そのものはほぼ了解された。

 

7.プログラム小委員会設置(定金、資料31-9)

プログラム小委員は、任期2年とし、継続性を考慮しながら改選してゆく。

レフェリーの任期も同じ。小委員候補を光天連の推薦を尊重して以下のように

決定した。専門委員長からプロ小委員就任依頼をする。

Solar Systemより渡部、Stars and the Galaxyより定金、Star Formation and

Interstellar Matterより田村、AGN and External Galaxiesより谷口、Cosmology

and Cluster of Galaxiesより岡村、広領域より河合(高エネルギ)、有本(理論)、

長谷川(電波)

 

8.すばる望遠鏡時間の配分について(海部、資料31-10)

今後数年の望遠鏡時間を、試験観測期I&II、共同利用期Ib&IIa&IIbの5つ

にわけ、時間配分の方針が提案された。前回と比べ、IfAとの協議の結果を反

映してUH時間は試験観測期IIより含まれること、試験観測は共同利用期IIb

までずれ込む可能性もあることが改定されている。

 今後必要となる機能試験観測時間を装置グループからの以前の申告をもと

49夜と想定すると、性能試験観測時間については、この4月から2年間

では227夜程度をAOを含む8装置に割り当てられることになる。

望遠鏡時間や機能観測時間の見積もりにはまだ不定性が大きく、この見積もり

は楽観的かもしれないが、この227夜を配分できるという前提のもとで、

その配分方針の議論を行った。

 各装置の共同利用への供し方によって割り当て時間に倍率をかける方法、

一律に分配する方法などが議論されたが、当委員会では、全体の約7割にあた

160夜を各装置に20夜ずつまず保証し、残りについては、装置の完成度、

観測所への引き渡しの見通し、共同利用への貢献などを、半年後(一部は1年後)

に総合的に、再度協議して決定する方針を了承した。

 各観測装置グループは機能試験観測の結果をとりまとめ、性能試験観測計画

評価委員会において性能観測開始が了承された時点で、観測所と観測装置製作

合意書を取り交わす。合意書には保証される夜数が記入される。後に保証夜数

が追加された場合は、合意書を改訂する。

この提案は装置グループに説明される。

 

9.Suprime-Cam pilot survey(岡村、資料31-11)

 Suprime-Camの一視野を広帯域・狭帯域フィルターで深く撮像し銀河進化の

研究に役立つ遠方銀河多色データベースを構築する計画。装置の性能試験観測

の時間だけでは終了しない。観測所時間の利用も含めたキープロジェクトの議

論の端緒として検討を開始するよう依頼があった。観測所では未検討なので、

今後内部でも議論を進める。

 

10.UHとの連携

 ハワイ大学研究者のすばる望遠鏡共同利用への参加、および試験観測への

参加については、観測所と装置の立ち上がり状況を資料を基に説明したうえで、

ハワイ側から各装置グループに直接接触して、十分話し合って進めてもらう

こととした。

 また、UH88,UKIRTの利用を軸にした協力も合わせて、研究協力の

ネットワークつくりを期待することとした。

 

11.そのほか

 Geminiは2001/3にヒロで国際シンポジウムの共催することをすばるに呼び

かけている。ヒロをサイエンスセンターにしたいという意図に賛成なので、す

ばるとしても協力することを、当委員会でも支援する。

 プロポーザル提出に関して、「日本人」の定義として、これまでは日本の機関

に所属する人とされていたが、国籍が日本人でも良いことを確認した。また、

PI装置の利用を外国人がPIで応募する場合は、PI装置側の協力は不可欠である。

 

 

*次回の委員会は5月後半から6月の予定。

 

以上